「普遍的な愛なんてものは、進化の過程においては、なんの意味も持たないと言われているんだよ」
「生物学者は、ある意味で、みなそう思っている」
「例えば、母性という母親の持つ愛情も、精子よりたくさんの栄養を持つ卵子を提供しているメスが、その見返りを求めて、子供に執着しているとも考えられる」
「全ての遺伝子が利己的である という説が正しければ、生き物は、みな本質的に孤独なんだ」
「こうして集う水鳥たちも、人間だって、ひとりぼっちなんだ」
「生まれてくるときも、死ぬ時も…」
「平凡…それこそが僕の理想だ」
「優しい時の流れは、いつも、そこに用意されているのだから…」
しかし。
「僕は、何もかも失ってしまった」
「ささやかな…未来も…」
「はじまりはどうであれ、僕は彼女を…」
「だからあんなとこをみてさ…」
「あなたは、私を愛してる?あんなとこ見て、見ぬふりしようと思うなんて…」
いろんなことが詰まっている。
人は(遺伝子レベルで)運命的に利己的であること
ゆえに孤独であること
平凡こそが幸せであること
それは壊されること。
※「不埒な偏見と暴虐によって」だろう。
失った者の苦悩。
奪った者の身勝手。
※「正しき者の道は、悪しき者の不埒な偏見と暴虐によって行く手を阻まれる」