「本当に美しい音を表現したいときは、それと同じくらい汚い音が必要」
理想だけではダメ。清濁あることを前提に、濁も飲み込む寛容さが必要だ。
真理を突いている。
しかしその根底には、清を是とする哲学が必要だろう。そこを押さえないと、汚れだけになってしまう。
ちなみに、この調律師さんの声がすごく良い。ずっと聴いていたい。ナレーターやってほしい。
(参考)調律師と確率
もう一つ。
「根底に流れる音楽の哲学が、演奏家一人一人のレベルで浸透しているので、それぞれが自発的に音楽づくりをしても、決して音楽がバラバラになることはなく、常に素晴らしい完成度の、ウィーンフィルらしい音楽が生まれるのです」
哲学。ひどく抽象的なものだが、最近はその重要性を折に触れて感じる。
事物をその抽象的な根源に立ち返って理解し実践できるかどうかは、それが体現され世界に具現化されるときの現れ方に、大きな違いを与える。
根底に哲学があるか。日々の生活や仕事の中でも、これを意識しているかどうかは、人生の質に大きな違いを与えると思う。