仕事で謄本見る機会が増えたので久々に会社法を開いて見てる。
昔やったときは六法を切り取って手元で見られるようにとか対策したけど、今やeGovで誰でも綺麗に印刷(縦二段とかして)見られるのだから、技術の進歩は素晴らしい。
「総株主の議決権の100分の3」 株主総会の招集請求権
「総株主の議決権の100分の1」 株主提案権
以前は暗記しようとして躍起になっていたが、今は(状況が想像できるだけに)暗記しなくても自然に頭に入ってくる。これが社会経験というものか。
100分の3を持っていれば(つまり3%株主は)「総会を開け」と請求できる。
会社法第297条
こりゃスゴイ権能だ。
株主って何人いる?
零細会社
非公開会社で取締役会もない(父ちゃん母ちゃん会社)だったら大したことないだろう。
しかし
中小企業
非公開会社で取締役会がある(ほとんどの、いわゆる「会社」)では、株主となれば色々な人間が絡むだろう。
巨大企業
公開会社だったら、無数の株主がいる。
それらの「株主」が「総会開け」と言えるなんて。
恐ろしいことだ。
いわゆる「カブ」をやってる株主はアタマが悪い。カネのことしか考えてない。配当さえあれば、その企業が潰れようがどうしようが知ったこっちゃない。
トヨタとか、大きなところで、今後も自分の資産を増やしてくれそうなところは「潰れるのは困っかなー」くらいで思っているが、究極のところ、儲かればその企業がどうなろうと知ったこっちゃない。企業の存続なんて頭にない。持続可能性?サステイナブル?何それおいしいの?
株やってる人間なんて99%がこれ。周りでも職場でも「カブ、カブ」と言ってる人間の会話や立ち居振る舞いの下衆さは分かるだろう。言葉にしきれない。
つまりアホだ。
こんな人間が総会を招集できるのだとしたら恐ろしい。
会社側の負担はとんでもない。会場はおさえなきゃいけない。書類も準備しなきゃ。たった2週間で。会計士と詰めて、役員会議して、各部署の部長から末端まで巻き込んで資料作って…
会社がかわいそう…ではあるけどしかし。逆に、会社側が悪意で、何か(株主にとって)悪いことをしているケースもある。取締役はじめ役員が(自分たちの儲けだけを考えて)会社を犠牲にするケースとか。
結局のところ、カネに目のくらんだ「株主」と「取締役会」、そういう悪意どうしの人間を法が調整している。
で、そんな株主が会社に対して「総会を開けコラ」と言えるためには、最低でも総株主の議決権の100分の3を持っていなければいけない(公開会社だとさらに6ヶ月前から持ってないといけない)という縛りを、会社法は設けた。
これが株主総会の招集請求権というやつだ。
他方、そうやって総会が開催されることが決まったあとの話として、株主が「俺が議題にしたいことを総会で取り上げろやコラ」という(株主提案する)ためには、総株主の議決権の100分の1でいいと(会社法は)いう。
会社法第303条
「総株主の議決権の100分の3」 株主総会の招集請求権
「総株主の議決権の100分の1」 株主提案権
この違いはなんなのか。
前者は、
総会を開催する
=多くの人間(集まる側も、準備する側も含めて)を巻き込んで会を開催する
=そんな大ごとを請求するんだから、最低でも3%持っていなければいけない
という趣旨だろう。
そうでもしなければ、たった1株持っているだけのアホ株主(カネの亡者)が「気に食わん!総会やれ!」と請求できることになってしまう。それを制限するための規定だ。
後者は、
そうやって総会が開催されることが決まってしまったあとのハナシで
これを議題にしてくれや、と提案する
=総会に出るというハードルをクリアした限られた人間(=アホ株主を排除したある程度まともな株主)のうち、さらに「議題」まで提案できる人間の条件であって
=それなら100分の1もっていればいい(1%株主でOK)
という趣旨なんだと思う。
100分の3とか
100分の1とか
数字だけ暗記しようとすると、3分後には
「あれ?100分の3だっけか?1だっけか?」
と忘れてしまうが
こうやって光景を想像すると、それぞれの数字がとても活きてくる。
会社法面白すぎる。eGov最高すぎる。しばらくハマる。