dカードGOLDの入会特典で獲得した電子マネーiD(10,411円相当)の利用期限が今年9月に迫っている。
電子マネー「iD」は率直に言って「使いにくい」。現金とは全く違う。
① 使える期間が決められているし
② 利用の用途が限定されるうえ
③ 使える商品の価格は高く設定されていて実は全くトクではないし
④(現金と違って)購入にポイントがつくか不明
以下、具体的に見ていく。
① 使える期間が決められている
まず、利用期限がある時点で最悪だ。現金のような価値はないと言っていい。ドコモはiDキャッシュバックなどという表現を使っているが、iDは(付与されてから)たったの半年間しか利用できないわけで、その時点でお金(キャッシュ)と同様の交換価値とは言えない。
② 利用の用途が限定される
次に、使える店舗・機会が少ない。ここも、まるで現金かのような「キャッシュ」バックという表現には問題があると思う。お金と違って、使い道はかなり限定されるのが現実だ。
例えば、ペットボトル(お茶)を買う場合を考えてみる。
ローソンで買う
税込み130円
電子マネーiD:使える
ドラッグストアで買う
税込み100円
電子マネーiD:一部のストアに限って使える
スーパーで買う
税込み80円
電子マネーiD:使えない
こうして見るとiDで買うためには実質ローソンに行くしかない。
ドラッグストアでも使えることは使えるが店舗が限られてしまうので、「あれ、この店ではiD使えたっけ?」なんて毎回判断するのが面倒で、結局コンビニで買ってしまうことになる。
ローソンで買うということはかなり割高になるということだ。お茶が130円もするんだから。スーパーでは80円なことを考えると、その差額(130-80)の50円は丸々ローソンの利益になり、その何割ががドコモにバックされる。
ドコモから見れば、特典(エサ)として利用者にバラまいた電子マネー(iD)を、ローソンを通じて取り戻したことになる。利用者としては、特典として獲得したはずの利益が、そのままドコモに持っていかれたことになる。
こんなことなら最初から現金で買えばいいだけだ。ローソンだろうがスーパーだろうが現金なら使える。どこでも使える。これが本当の交換価値というものだ。
※ 現金について同じような考え方のサイトがあった。内容は(儲け話主体で)眉顰モノだが、この部分だけは真を突いていると思う。
ドコモが(iDなどという意味のわからない電子マネーではなく)はじめから現金でキャッシュバックしていれば、スーパーで80円でお茶が買えたということになる。
③ 使える商品の価格は高く設定されていて実は全くトクではない
ローソンでお茶が「130円」などという高額に設定されているのがまさにこれ。極端な話、「140円」「150円」と価格を釣り上げてしまえば、そのぶんがローソンの利益になり、そのぶんドコモにバックされる金額も増える。
利用者としても、もし現金で払うのなら「お茶が130円?高すぎだろ。スーパーで買うわ」と避けるはずのところ、「iD持ってるんだよね。でも使えるのはローソンしかないから、ローソンで買うわ」となってしまう。実は買う店を強制され、しかも割高なものを買わされているわけだ。
「iDがもらえておトク!」なんて思っていたら、実はローソンとドコモの価格調整ひとつで、iD分の利益を吸われていたなんてことになりかねない。
ドコモからすれば、そういう調整ができるからこそ、あえて「iD」などという電子マネーでキャッシュバックするわけだ。本当に現金でキャッシュバックしていたら、利用者をコントロールすることなんてできなくなるのだから。
④(現金と違って)購入にポイントがつくか不明
現金で買えば、いくらかのポイントが戻ってくる。ドコモで言えばdポイントだ。コンビニやドラッグストアだと、現金購入なら間違いなくポイントがつく。
これに対し、電子マネー「iD」で買った場合にポイントがつくかは不明だ。調べないと分からない。そもそもそんなことを調べなければいけない時点で「キャッシュ」とは呼べない。
本物のキャッシュ=現金 ならば、間違いなくポイントがつくわけで、付かないかもしれないものをキャッシュ(現金)とは呼べないし、だからiD「キャッシュ」バックなどという表現はやはり問題があると思う。
以上①から④で見てきたように、電子マネー「iD」は、現金とは明らかに違う(はるかに劣る)交換価値だし、使える場所も機会も限られている。こんなものを(dカードGOLD加入の)「特典」とよぶのはおこがましいと思うが、付与された以上は使い切りたい。
次回以降は、実際の買い物の検討を通じてiDに現金価値があるかを検証してみる。まずはiDでスマホを買えるか?から検証してみる。
参考)
iDを取り扱う店舗だけを羅列すれば、まるで色々な場所で使えるかのように思えてしまう。例えばこんな類の記事を見かけたりする。
「あらゆる場所で利用可能!」と言っているが…そんなことはない。本当にそうなら最初から「現金で」キャッシュバックすればいいわけで。
そうではないからわざわざ「iD」などという仮想金銭(現金とは別の交換価値)を作って還元するわけだ。つまり、利用者がiDを使える店舗(や機会)をドコモ関連企業・提携企業になるよう用途を限定し、利用者の消費を囲い込んで利益をドコモにバックする仕組みにしている。だからこその仮想金銭なのだと言える。
そして、こんな仮想金銭を通じた商売を仮想「通貨」などというから、話がまたおかしくなる。ビットコインをはじめとした仮想通貨は、交換価値としてはこんな電子マネー(iD)よりは遥かに優れたものだし、意味が違いすぎる。こんな商売をしている時点で、日本に本当の意味の仮想通貨(電子的な交換価値)が根付くのは、随分先になるだろうと思う。
参考2)